Vol.2 身体の働きを表す「五臓」とは?

五臓

漢方では、身体の様々な働きを「腎・脾・肝・肺・心」という5つのグループに分けて考え、これを元に病気の原因や症状などを診断します。この5つのグループを「五臓」といい、五臓には、身体にとって必要な要素「気・血・水」などを生成する役割があります。

身体の成長や発育、生殖に関わる働きを持つ「腎」

腎は、私たちが持って生まれた「気・血・水」の原料を、生涯に渡って蓄えたり調整したりしています。こういうとイメージしにくいかもしれませんが、人間の一生を想像すると腎の働きがわかりやすくなります。例えば、生まれてすぐの乳幼児は、髪が少なく歯も生え揃っていません。

しかし、成長するにつれて髪が伸びて歯も生え揃い、加齢とともに再び髪も歯も抜け落ちます。これは、乳幼児期から青年期にかけては腎の勢いが増し、老年期になるにつれて衰えてくるために起こること。このように、腎に蓄えられた「気・血・水」などを含めた生命力のもとは、成長や発育、生殖に関する働きを左右するのです。

腎に不調が現れると、知能や骨格の発育不全、無精子症やEDなど生殖機能の異常、頻尿や失禁、下痢、便秘といった排泄異常などを招きます。

体外から「気・血・水」の原料などを取り入れる「脾」

脾は、胃や口、筋肉、皮膚と深く関わっています。

持って生まれた「気・血・水」の原料を調整する腎に対して、脾は食べ物や飲み物など身体の外から「気・血・水」の原料などを取り入れる働きを持ちます。さらに、食べ物などから取り入れた原料と腎が蓄えている原料を合わせて「気・血・水」を作り、全身に運搬します。

脾の働きに異常が生じると、食欲不振や腹部の不快感、胃もたれなど、主に胃腸の不調が生じやすくなります。

「気・血・水」を全身にバランスよく巡らせる「肝」

肝の働きは大きく2つあります。1つは「気・血・水」をすみずみに行き渡らせて全身を巡らせる働き。もう1つは「気・血・水」を体内の必要なところに必要な分だけ配分する働きです。

肝の不調の大きな特徴は、身体だけでなく精神面にも大きな影響を与えること。例えば、イライラしたり極度に落ち込んだりなどする場合、肝の働きが低下している可能性が高くなります。

呼吸機能に加えて、免疫機能や水分代謝を担う「肺」

西洋医学でいう肺は、空気中の酸素を体内に取り込み、二酸化炭素を排出する呼吸機能があります。漢方でいう肺にも呼吸機能がありますが、肺の働きはそれだけに留まらず、体内を巡る「気・血・水」を漏れ出さないようにしたり、反対に過剰な分を体外に排出したりする機能があります。また、悪いものから身体を守る免疫機能を高めたり、身体に必要な水分を押し留め、不要な分を排出する水分代謝の機能なども持っています。

肺の働きが悪くなると、せきや息切れなど呼吸障害の他、むくみや発汗といった水分代謝のトラブル、風邪を引きやすくなるなどの免疫系の不調が生じます。

全身の司令塔として、血の循環と精神活動を支える「心」

心は、生体機能全体を統括する司令塔のような存在。心臓と同様にポンプ機能として全身に「血」を循環させるだけでなく、記憶力や判断力、言語機能といった意思決定も心の働きによるものとされています。

心に不調をきたすと、顔色が悪いといった循環器系の不調に加えて、不眠や眠りの質の低下といった睡眠障害、過剰な不安や精神疲労といった精神障害が起こりやすくなります。

五臓は、それぞれが独立して働いているわけではありません。身体を構成する「気・血・水」を生成したり、それを受け取って全身に巡らせるなど、お互いに関わり合いながら健康な状態を維持しています。

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