- 2017-10-11
- はじめての漢方
漢方の考え方に基づいた治療法は、私たちの生活の中にも溶け込んでいます。
その代表例を4つほどご紹介しましょう。
薬膳
漢方では、一部の食材にも生薬と同様の作用があると考えられており、これらの食材を取り入れた食事や調理法のことを「薬膳」といいます。
薬膳では、食材が持つ性質を四気と五味で捉えます。
四気とは、身体を温める作用を持つものと冷やす作用を持つもので分類する考え方。身体を温めるものを「熱性」「温性」、身体を冷やすものを「寒性」「涼性」、どちらでもないものを「平性」といいます。(詳しくは下図)
五味とは、食材の味を5つに分類する考え方。「酸味」「苦味(くみ)」「甘味」「辛味(しんみ)」「鹹味(かんみ)」に分けられ、それぞれの味は五臓の働きと関連する特有の作用を持ちます。(詳しくは下図)
医食同源という言葉のとおり、漢方では、病気の原因となる食事などの生活習慣の改善も重視しています。漢方では、漢方薬に加えて薬膳を取り入れることで身体が本来持つ自然治癒力を高め、病気を根本から治癒します。
四気の特徴とそれぞれの作用
五味の特徴とそれぞれの作用
指圧・あんま
指圧やあんまはいずれも「気」「血」の通り道である経絡と、体表部の接点である「経穴」を刺激する治療法です。
経穴とは、わかりやすくいうとツボのこと。これを刺激することで「気」「血」の巡りを良くし、体調を改善させます。
あんまは、不調がある場所をなでたり押さえたりすることで血流を良くし、痛みを軽減させたりコリをほぐす手技療法のこと。もともとは中国で生まれたものですが、日本独自の発展を遂げ、現代では揉みを中心とした施術が行われています。
指圧は、手のひらや手の指を使って経絡・経穴を押すことで、自然治癒力や回復力を高めて不調を改善する手技療法です。器具や薬物を使わないので副作用の心配がなく、老若男女に行える利点があります。
あんま…服の上から押す/揉む/叩く
指圧…衣服の上から手のひらや指で圧をかける
はり治療
はり治療は病変のある部位や臓腑と関わりが深い経穴を刺すことで、「気」「血」の巡りを良くします。肩こりや腰痛、神経痛などの他、消化器系の病気、アトピー性皮膚炎、不眠症、のぼせなどにも、はり治療が用いられます。
お灸
お灸は、よもぎの葉を乾燥させたもぐさを経穴に置いて燃焼させる治療法。温熱効果によって「気」の巡りを良くし、不調を改善します。主に関節痛や筋肉痛、神経痛、冷え性、更年期障害などの治療に用いられます。
以上、4つが主な漢方の治療法です。漢方の基本は、セルフケア。暴飲暴食や運動不足などの悪い生活習慣を避けて、身体に良い生活習慣を心がけましょう。また、はり治療やお灸などは専門的な知識が必要です。個人の判断で行わず、専門家を頼りましょう。