Vol.3 代表的な治療方法「漢方薬」のあれこれ

漢方素材

「漢方」という言葉で一番に思い浮かべるのが漢方薬でしょう。

では、漢方薬とは一体どのようなものなのでしょうか?

漢方薬は、昔の人の知恵の塊!

漢方薬は、異なる働きを持つ生薬を、決められた法則に従って配合した治療薬。生薬とは、漢方薬に使われる素材のことで、薬効を持つ動植物を乾燥させたものや鉱物などがあります。

漢方薬は、独自の診断方法で病状や体質を判断し、それに合わせた漢方薬を処方します。漢方薬に配合される生薬は、役割別に下図のような4つのグループに分けられており、頭文字を取って「君臣佐使」と呼ばれます。

それぞれ、メインの効果を持つもの、君薬の効果を高めるもの、君薬と反対の力をもち暴走を抑えるもの、全体の調和をとるものがあります。

漢方薬は、長い歴史をかけて効果が検証されてきました。そして、効果が認められたものだけが「葛根湯」「補中益気湯」といった名前が付けられ、現代にまで伝わっているのです。

「君臣佐使」それぞれの役割を解説!

君臣佐使

君薬

目的とする作用の柱となる生薬。「主薬」と呼ばれることもある。

臣薬

君薬とは異なる作用を持ちながら、君薬の働きを助け、効果を強める。

佐薬

君薬とは反対の性質を持つ。君薬や臣薬の暴走を防ぐ。

使薬

特定の臓腑に効率よく作用させたり、漢方薬全体の調和をとる。

漢方薬には、エキス薬と煎じ薬がある

漢方薬は、形状によって2つの種類があります。

1つは、エキス剤。決められた法則に従って組み合わされた生薬を工場で煮出し、抽出されたエキスを顆粒や粉末状に加工したもので、煎じる手間が省けて持ち歩けるメリットがあります。

ただし、一人ひとりの体質や状態に合わせて細かく配合を変えられない欠点があります。

もう1つは、煎じ薬。これは、生薬を水で煮出して有効成分を抽出した飲み薬のことで、刻んだ生薬が配合されて処方されます。

配合をアレンジしたり、生薬の組み合わせを一部変えられるため、体調や体質に合わせて作ることができます。しかし、煎じる手間があるのが難点といえるでしょう。

エキス剤では効果が出にくい場合も、煎じ薬であれば新しい組み合わせで病気を治せることがあります。

診療現場では、主にエキス剤が使用され、エキス剤で対応できない複雑な病気に関しては煎じ薬が処方されることが多いそうです。

漢方薬は、約二千年もの歴史が培った理論と経験によって確立されたもの。西洋医学と漢方の両方の強みを生かした「統合医療」を目指す現代医療にも、欠かせないものなのです。

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