お父さん50歳、お母さん44歳――。まだまだ若いつもりなのに「あれっ?髪の毛が…」それが2人の共通の悩み。老け込みたくないから「なんとかなるかな…いや、なんとかしなくちゃ」と焦っている2人です。
加齢に伴う薄毛の原因は、ヘアサイクルの乱れ
薄毛は大きく分けて、ストレスや病気などが原因の一時的なものと、加齢とともに進行するものがあります。加齢による薄毛の多くは、ヘアサイクルの乱れが原因と考えられます。
ヘアサイクルとは、毛髪が生えてから抜け落ちるまでの周期のこと。通常、毛髪は太く成長してから抜け落ちます。しかし、男性ホルモンの一種であるテストステロンが毛髪に入ると、毛根の細胞で5αリダクターゼという酵素により、ジヒドロテストステロンという別の男性ホルモンに変化。このジヒドロテストステロンが毛髪の成長を途中で止めてしまい、そのため細くて弱々しい状態で抜けてしまうのです。
加えて、細胞の老化、加齢による血行不良、長年の生活習慣などで、薄毛は年齢とともに進行することが多いのです。
女性も油断できない抜け毛や薄毛の悩み
薄毛の原因となる男性ホルモンは、男性特有のものではなく、女性の体内にも存在します。そのため、女性も、男性と同じメカニズムで抜け毛や薄毛になることがあります。特に、更年期以降は女性ホルモンが減少し、男性ホルモンが増加します。すると薄毛のリスクが高まります。
若々しい印象は、生活習慣で決まる!
髪の健康状態は、日頃の生活習慣で決まります。食生活については、ファーストフードやインスタント食品を避け、鶏肉やチーズ、海藻類を積極的に食べると良いでしょう。また、睡眠不足や運動不足も髪の大敵。毎日6時間以上の睡眠をとり、適度な運動を心がけましょう。
髪にやさしい洗髪の仕方
健康的な髪を保つためには、洗髪もポイントです。回数は、1日1回で十分。
具体的な方法は、まずブラッシングをして髪どおりを良くします。次に髪をお湯で十分にすすぎます。これで汚れの7割程度は落ちます。その後に、シャンプーを使った洗髪を行います。指の腹を使い、5本の指を回しながら頭皮を上に伸ばすような感じで洗っていきます。頭皮は非常にデリケートなので、力を入れてゴシゴシ洗うと頭皮下の毛細血管が痛んでしまいます。赤ちゃんの肌に触れるようにやさしく洗いましょう。最後のすすぎは入念に。シャンプーが頭皮に残らないようにしっかりと洗い流します。
洗髪後のタオルドライも丁寧に。まずタオルを軽く髪に押し当てて乾かし、強く拭かないのがポイントです。十分に水気を取ってからブラッシングします。ドライヤーで乾燥させる前にブラッシングをすると速く乾かすことができます。髪と頭皮をしっかりと乾かさないと、髪や毛根が弱りやすくなるので注意しましょう。
薄毛に効果的とされる食材
●カボチャ、ニンジン、ほうれん草、ブロッコリーなど
皮膚や髪の健康に欠かせないビタミンAが豊富なのは、いわゆる緑黄色野菜です。ビタミンAは熱に弱いため、サラダで食べることをおすすめします。
●マグロ、カツオ、アジ、サバなど
ビタミンB群の中でも、アミノ酸の代謝に不可欠で、血液を作るのにも必要な栄養素がビタミンB6。ビタミンB6を豊富に含むものの代表格が青魚です。
また、青魚にはカルシウムの吸収を促進するビタミンDも豊富なので、肉食中心だった方は育毛活動の一環としても魚を積極的に摂られることをおすすめします。
●牡蠣、緑茶など
牡蠣やイワシなどの青魚、緑茶などに含まれる亜鉛は、「育毛ミネラル」とも呼ばれ、男性ホルモンによる脱毛を抑える働きがあるといわれています。
●ニンニク、ニラ、玉ねぎなど
ネギ科の植物に豊富なアリシンには、血液をサラサラにする働きがあります。頭皮には細い毛細血管が多いため、血液を細部にまで行き渡らせるには重要な栄養素です。
漢方素材、高麗人参の働き
飲み続けても安心な漢方素材の中には、髪の毛に良いものがありますが、特にオススメなのが高麗人参。前述した通り、薄毛は、テストステロンが酵素の働きによって、ジヒドロテストステロンに変化することで発症します。高麗人参の有用成分が、この酵素の作用を抑制することが試験で明らかになっています。
この他にも高麗人参は脱毛症に対して多様な効果を発揮します。まずは、毛根の先にある毛乳頭細胞の増殖をサポート。毛乳頭細胞とは、毛髪のもとである毛母細胞に発毛の命令を出す細胞です。
また、高麗人参は頭皮の血行を良くしたり、新しい毛細血管の形成を促進。これらの作用により、毛母細胞に栄養分や酸素がより多く届くようになります。さらに、脱毛症の原因となるストレスを緩和し、ホルモンバランスの乱れを整える働きもあります。
臨床試験結果
高麗人参の効果
テストステロンと酵素(5αリダクターゼ)が入った試験容器に、酵素の活性を阻害する化合物フィナステリドと高麗人参の有用成分ジンセノサイドRd、Ro、Rg3をそれぞれ加えました。そして、30分経過時にテストステロンがジヒドロテストステロンに変化している割合を見ました。その結果、Rg3を入れたものは、高い活性阻害率を示しました。
このことから、一部のジンセノサイドに酵素の働きを抑制する作用があることが分かりました。
――― Phytother. Res.26 : 48-53(2012)